SuicaやPASMOを使って鉄道やバスを利用すると、ポイントが貯まる場合がある。
ポイント制度の拡充とセットで、回数券の廃止を進めている鉄道会社も。
各社がどんなサービスを始めているのか、調べてみた。
(2021年9月 初版)
(2022年3月 小田急おでかけポイントについて更新)
(2022年7月 西武の乗車ポイントについて更新)
(2022年10月 東京メトロのランク制度について更新)
(2023年1月 都営地下鉄のランク制度について更新)
(2023年8月 京王の乗車ポイントについて更新)
(2023年11月 相鉄の乗車ポイントについて更新)

JR東日本

  • 貯まるポイント:JREポイント
  • 定期券区間外の乗車で貯まる
  • 登録したSuicaで貯まる(モノレールSuicaとりんかいSuica除く)
  • モバイルSuicaとICカードでポイントの貯まり方が違う
  • モバイルSuicaは50円ごとに1ポイント
  • ICカードは200円ごとに1ポイント
  • 同一運賃区間を月に10回以上乗車で加算あり(約10%)
  • Suicaグリーン券や入場券、新幹線乗車でも貯まる
  • モバイルSuicaでモバイルSuica定期券購入でも貯まる
  • オフピークポイントも(来春まで)
  • 1ポイント=1円単位でチャージして利用
  • 有効期限は最後にポイントを獲得・利用してから2年後の月末

JREポイントは鉄道乗車以外に駅ナカ店舗の買い物で貯めることもできるし、ポイントの交換先も多い。一度登録してしまえば、使い勝手はいいのでは。

東京メトロ

  • 貯まるポイント:メトポ
  • 定期券区間外の乗車で貯まる
  • 登録したPASMO/モバイルPASMOで貯まる
  • 平日日中:5ポイント(デイタイムポイント)
  • 休日:7ポイント(ホリデーポイント)
  • 月に10乗車ごとに10ポイントの加算(ボーナスポイント)
  • 東西線オフピークプロジェクトでもポイント加算
  • 10ポイント=10円単位でチャージして利用
  • 有効期限は貯めた翌年度の3月末

東京メトロの乗車ポイントは、2021年7月に少し見直しがされている。
平日は10:30〜16:30に改札を出場するとポイントを付与する「デイタイムポイント」になった。

2023年3月にまたも仕組みが変わり「ランク制度」によってポイントが付与されるようになることが発表された。東京メトロの利用金額や定期券所持によって「ランク」が決まり、そのランクに応じて翌月の乗車金額(定期区間外)の最大10%がポイント還元される。
ものすごく単純な計算だと▼600円の利用で2%(12ポイント)▼8000円の利用で10%(800ポイント)が付与される。

この「ランク制度」の設定にともない、回数券(普通回数券、時差回数券、土休日割引回数券)は廃止されることになった。

都営地下鉄・都営バス

  • 貯まるポイント:ToKoPo
  • 定期券区間外の乗車で貯まる
  • 登録したPASMO/モバイルPASMOで貯まる
  • 対象は都営地下鉄、日暮里舎人ライナー、都電荒川線、都営バス
  • 1回の乗車で2ポイント
  • 休日は1日に2ポイント加算
  • 乗継すると1日に10ポイント加算
  • 10ポイント=10円単位でチャージして利用
  • ポイント付与時に、その時点での全ポイントの有効期限が翌年度末まで延長

東京都交通局のToKoPo(トコポ)は2021年10月からサービスが拡充されて、都営バスのみでの乗車もポイント加算対象になる。
これによって都営バスでのバス特(バス利用特典サービス)と、都営バス乗継割引は廃止になった。

三田線の目黒〜白金高輪間の乗車は対象外となっているのが面白い。
東京メトロとは違って、ポイントが貯まると既存のすべてのポイントの有効期限が更新される(ヨドバシカメラ方式と呼んでおこう)のは好感度アップ。

東京メトロと都営地下鉄は、Webで会員登録したあとに駅の券売機でICカードを登録する仕組み。このあたり、ある程度共通したシステムを使っているのだろう。

2023年4月1日からは「ToKoPo ステップアップボーナス」を始める。東京メトロと同様、普通回数券の発売を終了する代わりに、乗車回数に応じたポイントを付与するというもの。

  • ひと月に同じ運賃区間を乗車した回数に応じて、ポイントを付与する
  • 8回〜15回の乗車で乗車回数分運賃の3%
  • 16回〜23回で7%
  • 24回以上で12%

正直、このポイント制度、どれだけ還元されるかどんどんわかりにくくなっていく。

西武

SEIBU PRINCE CLUBというポイントサービスにPASMOを紐づける「スマイルリンク」という仕組みがある。これまでは駅ナカのコンビニ(TOMONY)などでPASMO決済した分のポイントが貯められるくらいだった。
2022年7月から、このスマイルリンクを使って乗車ポイント制度が始まった。

  • 貯まるポイント:SEIBU Smile POINT
  • 「オフピークプラス」PASMO通勤定期券が対象、平日朝の時差通勤で貯まる
  • 「おでかけプラス」西武線沿線の観光地など、特定の条件で乗ると貯まる。西武ドームや西武園ゆうえんちに電車で出かけた場合などがある。
  • 「リピートプラス」1か月に同一運賃区間を5回以上乗車すると、乗車回数に応じて2%から9%のポイント付与。モバイルPASMOの場合はさらにプラス3%を付与。

開始当初は「オフピーク」か「特定の観光地に行った場合」のみで限定的な感じがしたが、その後「リピートプラス」が追加された。リピートプラスは、対象期間が2024年3月31日までとなっていて、キャンペーンのように随時制度が変わっていくのかもしれない。

小田急

子どものIC乗車券50円とか攻めの施策やMaaS的なものが目立つようになっている小田急。
2022年4月1日から「小田急おでかけポイント」が始まる。
小田急の会員ID「ONE」(おーね、と読むらしい)とPASMOを紐づけることで、PASMOによる乗車で小田急ポイントが貯まる仕組み。

  • 貯まるポイント:小田急ポイント
  • PASMOによる乗車(定期券区間は対象外)でポイント付与
  • ひと月に、同じ運賃区間を2回以上乗るとポイント付与
  • ポイント付与率は0.5%からで変動、ひと月に26回以上乗ると12%
  • 子どもは1回の乗車で一律2%、つまり1回に1ポイント(大人のポイントカードに合算)

「同一運賃区間ごと」にポイントを計算するなど、ちょっと複雑だ。
コロナで定期券を買わなくなった人も多いと思われるので、定期は買わないけど通勤などで同じ区間をそれなりの頻度で利用する人、を想定したのだろう。

小田急ポイントカードは、ロマンスカー@クラブでロマンスカーに乗るとポイントが貯まる制度もある。定期券購入やオートチャージでポイントが貯まるのはクレジットカードのみ。

東武

2021年10月1日から「トブポマイル」という新しいサービスが始まる。

  • 貯まるポイント:TOBU POINT
  • TOBU POINTアプリにPASMOを登録して貯める
  • 「おでかけマイル」Apple PayのPASMOかモバイルPASMOのみが対象
  • 東武線運賃の3%のマイルを付与
  • 「リピートマイル」モバイルに加えて、カードタイプのPASMOも対象
  • 同一月に同一運賃区間を8回以上利用で、4%〜 のマイルを付与
  • 1マイル=1円でPASMOにチャージ、またはTOBU POINTに交換
  • 有効期限は最後にマイルを獲得・利用してから2年間
  • 来春からオフピークマイルも開始予定

「トブポマイル」のサービス開始に伴って、回数券の販売がなくなる。特に「おでかけマイル」が回数券の代替となるという考え方なのだろう。

京王

京王系列で使えるポイントカード「京王パスポートカード」とPASMOを連携させる「京王PAS×PASポイントサービス」に登録すると、乗車ポイント的な仕組みがあった。ポイントが貯まるのは「電車とバス」「電車とタクシー」を同じ日に利用した場合。

このサービスに代わって、2023年10月1日から京王線・井の頭線の鉄道乗車ポイントサービスが始まることになった。

  • 貯まるポイント:京王トレインポイント
  • 京王線アプリにPASMOを登録することで貯まる
  • 定期券区間外の乗車で貯まる
  • 同一月内で同一区間を5回以上乗車すると、運賃の1%のポイント付与
  • ポイント付与率は乗車回数に応じて最大14%
  • 小児運賃の場合、1回の乗車ごとに運賃の50%のポイント付与
  • 登録はPASMOのみでSuicaは対象外
  • 貯めた「京王トレインポイント」は「京王ポイント」に交換するかPASMOにチャージ

乗車で貯まる「京王トレインポイント」は従来の「京王ポイント」とは別物なので少しややこしい。PASMOにチャージする場合は1回あたり88ポイントの手数料がひかれる一方で、京王ポイントに交換する場合は「京王トレインポイントの110%分の京王ポイント」になる。自社経済圏でのポイント利用を優遇ということか。

なお、京王でもこの鉄度乗車ポイントの開始によって、従来の回数券を廃止する。

相模鉄道

相鉄は2024年3月から共通ポイント「相鉄ポイント」を導入すると発表、それにあわせて「相鉄ポイントマイル」を始めることになった。

  • 「相鉄Styleアプリ」に登録したPASMOでの乗車で貯まる
  • 定期券区間外の乗車で貯まる
  • Suicaや一日乗車券などでの乗車は対象外
  • 同一月内に、同一運賃区間を10回以上利用するとマイルが貯まる
  • マイルの付与率は利用回数に応じて乗車運賃の3%〜8%
  • モバイルPASMOで乗車すると、乗車回数に関わらず3%のマイル付与
  • 小児運賃の場合、1回の乗車ごとに運賃の50%のマイルを付与
  • 相鉄線と相鉄バスを同一日に利用すると10マイル付与
  • 貯まったマイルは相鉄ポイントに交換するかPASMOにチャージ
  • マイルの有効期間は最終利用日から2年間

モバイルPASMO/Apple PayのPASMOで乗車すると毎回3%のマイルを付与するとなっていて、ICカード(板カードとニュースリリースでは呼ばれている)よりマイルを貯めやすくなっているのが特徴。これは東武のトブポマイルと似た仕組み。


ここからは各社のポイントカード(特に現金専用カード)について簡単に(クレジットカードで定期券購入やオートチャージを利用した場合のポイントは考えない)。


東急

TOKYU POINT CARDとPASMOを「電車とバスで貯まるTOKYU POINT」に登録すると、東急線のPASMO定期券購入でポイントが貯められる。
貯めたポイントはPASMOにチャージ可能(10ポイント=10円)。
さらに乗車ごとに「のるる」というマイルのようなものが貯まる「のるレージ」がある。